「City, her city」

音楽の仕事と並行してずっとラジオの仕事をしてきました。「この瞬間どんな人が何をしながら聴いてくれてるんだろう。」喋る時はいつも想いをはせます。今日もこの空の下に、誰かがいる、生きている、ということは当たり前じゃなく私にとってすごく勇気づけられることです。愛おしいことです。
出会ったことはないけど確かにどこかにいる、そんな誰かの人生の1ページに栞をはさむようなきもちでこのアルバムを作りました。


「BOOKMARK」

アレンジに際してhuenica榎本くんから「主人公ってどんなやつかな? 俺的には浅野いにおの漫画に出てきそうなちょっと草食系な感じかなと思ってたんだけど」とメールが来ました。
さて、私はどんな返事をしたでしょうか?
東京の街に暮らす男の子と女の子。皆さんそれぞれに彼らのことをイメージしながら聴いてみて下さい。

「歌いながらいけ」

訪れた土地の民家にアポなしで泊まらせてもらう、という企画の旅番組を観ていた。
すると別れ際、名残惜しくて泣いている芸人さんに、農作業を中断して見送りに来たほっかむりのおばあちゃんが手を振って笑いながらこう言った。「歌いながら行きなさい!」
それは2011年、未曾有の震災を前に音楽に力などあるのか、意味などあるのか、日々自問自答していた私にも光をくれた言葉だった。
曲中の登場人物はまったく違う設定だけど、カントリーフォーク調のアレンジが今も忘れることのないあのおばあちゃんの笑顔を思い起こさせジンワリ染み入ってきます。

「いい予感がするよ(album ver.」

2017年11月、10周年LIVEに合わせてリリースされた配信限定シングル。
「ちゃぷちゃぷじゃーじゃー」という間の抜けた(笑)フレーズが印象的なこの曲を、
もっと肩の力を抜いてシンガロング出来たらいいなぁという思いでリアレンジに踏み
切った。
すでにLIVEでの立ち位置が確立している楽曲だけにハードルは高く、huenicaと共にすっごく悩んだけれど、「ラララ」を全編に散りばめる&ウクレレを入れるというアイデアが一気に突破口となり、榎本くんの西海岸なギターリフも相まって、イントロから「陽」溢れる楽曲に生まれ変わりました。
ウクレレを貸しにスタジオに来てくれた流れで急遽演奏にも参加してくれた、D.W.ニコルズ・鈴木健太くんのナイスプレイも是非ご堪能ください!



「Boyfriended」

【Boyfriended】= Boyfriendの過去形。昔の恋人。元カレ。
友達じゃないが他人でもない、摩訶不思議な存在「元カレ(⇔元カノ)」考察ソング。
キラキラした「思い出」というフィルターでしか彼女を見れない男の子と、「いま」の自分をちゃんと見て欲しい女の子とのディスコミュニケーションな空間が非常にシュールです。
冒頭出てくるパンチのある一節がザワッと物議を醸し、長い事お蔵入りになっていたこの曲。サビを詞曲ごと書き換えて再プレゼンした結果、(物議を醸した箇所は直さないまま)
やっと世に放つことが出来ました。


「ラブソングが終わる前に」

大人になると、相手との関係性をカテゴライズしなくとも上手にやり過ごせてしまったり、でも上手にやり過ぎるあまり肝心の本音が自分でも分からなくなっちゃったり。
「LIVE会場」という日常と隣り合わせな非日常の片隅を舞台に展開するストーリー。主人公の不安定な心模様を表現するため裏声を多用しています。
自作のdemo段階で一番アレンジがしっかり組み上がっていたのがこの曲。
そのイメージに良い意味で囚われることなく、デモの世界をフワリと飛び越えサウンドを構築してみせてくれたhuenicaの二人に感服!

「blue hour」

人を好きになる気持ちは、純度が高ければ高いほど狂気をはらむ。その感じを曲に出来たらと思った。

夜が明けようとする直前、一瞬空が濃い青色に染まる時間のことを「ブルーアワー」と言うのだそうだ。

街が起き出すその前にそれぞれの場所へと帰っていく秘密の恋人たち。
別れ際「またね」と抱き合った、その肩越しに広がっていたのはきっとこんな景色。


「ガーベラ 〜きみがだいすき〜」

きみがだいすきだよ。だから頑張れるよ。でもたまには疲れて真顔にもなっちゃうよ。
こっそり吐き出されたため息の、そのそばに置いてほしい1曲です。
今回のレコーディングの為に買ったMartinのウクレレを演奏しました。
打ち込みみたいなドラムはコミーさん。なんとスタジオにあったスーツケースをバスドラ代わりに。
榎本さんのギターはおもちゃの象さんギター。サチコちゃんのピアノは近所から漏れ聞こえてくるお教室のピアノをイメージしてるそう。つまり、みんな楽しく自由にやってくれました。ゴーーーー!笑


「これでいいのだ」

すべての「ちいさなひとたち」へ。
そして、かつて「ちいさなひと」だった、すべての「おおきなひと」達へ。
もうすぐ小学生になる甥っ子がいます。独自のペースと個性的で素晴らしい表現力を持つ彼のことを私達かぞくはこよなく愛しています。
時に「ふつう」と比べられる場面があったとしても「君は君。ただそれだけで素晴らしい」
そう、高らかに伝え続けたい。

「真夜中のランドリー」

オムニバス映画のエンディングロールをイメージして作りました。
真夜中、登場人物達がそれぞれの街の片隅で空を見上げながらぽつりぽつりと歌ってる。
ちょっとばかし冴えなかった今日を思い返しながら、きっと今日より良くなるだろう明日への期待を込めながら。

今日も1日よくがんばったね。おつかれ。おつかれ。
そんな風に、このアルバムを聴いてくれてるあなたと声をかけ合えたらいいな。せめてこの曲がその代わりになるといいな。